東京地方裁判所 昭和43年(借チ)29号 決定
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔決定理由〕一 申立人は相手方所有の本件土地(別紙記載)の地上に存する家屋番号甲二三三〇番六木造瓦葺平家建床面積49.4958平方米の建物及び本件土地に対する借地権を昭和二七年一一月一三日頃その所有者宮本治郎から譲り受け、借地権の譲渡につき相手方の承諾を得た。ところで、本件土地附近は区劃整理事業が行なわれており、一般に減歩を受けて仮換地が指定されたため、最近堅固建物による高層化が行なわれている。本件土地も別紙記載のとおり減歩され前記建物を仮換地上に移築することができないので、この際高層化することが必要となつた。そこで従前の非堅固建物の所有を目的とする借地条件を堅固建物所有の目的に変更することを相手方に要望したが話合いがつかない。
以上が申立ての理由である。
二 本件資料によれば、右の事実のほか次の事実を認めることができる。
1 本件借地契約の内容は、別紙記載のとおりである。従つて借地期間は一応昭和四五年九月に終了する。
2 本件借地契約に関し、権利金等授受の事実は認められない。
3 本件土地附近の事情は、借地条件を堅固建物所有の目的に変更するのを相当と認めるに足りる変更があつたということができる。
4 鑑定委員会は、本件借地条件の変更を相当と認め、これに伴い、申立人において相手方に対し金六六万二、八三二円の支払いをさせ、かつ、地代を3.3平方米につき月額一〇〇円に増額するのを相当としている。なお、右意見は、本件土地の更地価格を3.3平方米につき金四〇万円存続期間を三〇年とすることを前提とし、木造建物所有目的の借地(期間二〇年)における更新料を更地価格の七%、堅固建物(四階建)建築による効用増加率を四七%として、現在の借地権の残存期間が一四年あることとして、それによる更新料の減価を行ない、右給付金額を算出している。また、地代については近隣における地代の底地価格に対する割合いと比較し、前記金額を相当と認めている。
三 当裁判所は、本件借地契約における借地条件を堅固建物所有の目的に変更することを相当と認め、その際前記契約の経緯を斟酌した上で、存続期間を本裁判確定の日から五〇年と定めることとした上で、申立人に本件土地の価格(鑑定委員会の意見による3.3平方米金四〇万円)の約一〇%に相当する金八〇万円の支払いをさせるのを相当と認め、かつ、地代を右鑑定委員会の意見に従がい、3.3平方米につき一ケ月金一〇〇円と定めることとする。
よつて、主文のとおりに決定をする。(西村宏一)
借地契約の内容
一 目的土地 豊島区西巣鴨二丁目二三三〇番六
宅地 252.26平方米のうち99.17平方米
但し、指定された仮換地上における目的土地の面積は67.5平方米
二 契約の成立 昭和二五年九月五日(賃貸人相手方、賃借人角屋竜蔵)
三 借地条件
1 非堅固建物所有の目的
2 期間二〇年
3 現在の地代 一ケ月金一、五〇〇円